「準備は必要ない、海外へ出たいならとりあえず出よう」東南アジアでスタートアップを創業するまで

「準備は必要ない、海外へ出たいならとりあえず出よう」東南アジアでスタートアップを創業するまで

GAOGAOメディアの新企画「海外クリエイター図鑑」です。

この企画のコンセプトは「海外で活躍する日本人クリエイター(エンジニアさんやデザイナーさん)の生の声を知り、海外でチャレンジする敷居をもっと低くしよう」というものです。

海外生活や海外での仕事に興味があるけど、どのようなものなのか想像がつかない!そう思っている読者の方はいませんか?! そんなあなたをターゲットとした企画です。

今回インタビューに応じてくれたのは、ベトナム・ホーチミンにて、HRTechスタートアップ「freecracy」のCTO兼サーバーサイドエンジニアを務められている、上村一平さんです。

上村一平

freecracy株式会社 CTO。エンジニア養成学校「ジーズアカデミー」でプログラミングを学び、エンジニアへと転身。卒業後に、ジーズアカデミー同期とfreecracy株式会社を創業し、CTOに就任。

業務効率化をした経験がきっかけでエンジニアへ

──今どんな活動をされているのか教えていただけますか?

ベトナム・ホーチミンで「freeC」というHRTechサービスを展開する日系スタートアップにて、CTO兼サーバーサイドエンジニアをさせて頂いております。

──元々は日本で働かれていたんですよね。そこから、どのような経緯でホーチミンでスタートアップのCTOを務められることになったのでしょうか?

日本では、女性用オーダーメイドヘアウィッグを販売するkellyheartsという企業にて、テレマーケティング集客センターのマネジメントを10年やっておりました。

──前職ではエンジニアではなかったんですね。そこからどのようにエンジニアへ転身されたのですか?

その企業で、電話番号を紙に印刷して、印刷したリストに電話がつながったら◯とか、△などの印を手書きで書いていて、それを終了後に一つ一つデータを入力するという作業を管理の方がやっていたんです。それは1日に2000件とかそのぐらいの膨大な量になります。

それがすごく効率が悪いなと思っていて、僕がそのデータをMicrosoftのAccessで管理するシステムを自作したことがあったんです。

紙でやっていた頃は、人間のやることなので打ち間違いがあったりしました。昨日電話をかけた人にまた今日も電話かけてしまうとか、そういうケースがありましたが、それが割と減りました。

また完全に機械的な管理に変えることができたので、3ヶ月後にまた電話をかけるというサイクルを作れました。 実際にそれのおかげで売上も少し上がったんです。

そういう経験があったのが、プログラミングに少し興味を持ったきっかけでもあります。

僕はマネジメントの仕事を10年やっていたのですが、あんまり好きになれなくて、少し疲弊してしまったんです。それで当時貯金があったので、一度仕事を辞めて1年半ぐらいふらふらしていました。

友達と海外旅行に行ったり、ネットゲームをしたりしていたんですけれども、そろそろ仕事しなくちゃという考えになり思い立ちました。

最初は電気工事の仕事を考えていて、エアコンをつけたり、コンセントをつけたりする電気工事の仕事が、すぐにお金になるということは知っていたんです。

なので、それをやるのか、または前職でちょっとしたシステムを作った経験があったため、エンジニアってどうなんだろう?みたいなことを結構悩んでいました。

そんな最中に、エンジニア養成学校「ジーズアカデミー」のことを知りまして、それを親友に相談をしたら、「もともと頭を使う仕事をしていたし、プログラミングをやってみたら?」と背中を押されました。

──なるほど、友達の後押しがあったんですね。プログラミングスクールはいくつかあると思うのですが、ジーズアカデミーを選んだのはなぜですか?

それは完全にたまたまです。

僕がよく飲みに行く行きつけのスナックがあるのですが、そこにご年配の40歳から60歳ぐらいのお客さんがよく来られるんです。

その中の一人に、60歳ぐらいの男性がいるんですけれども、その人がたまたま隣の席になってジーズアカデミーの話を聞いたんです。

ちょうど迷っていましたし、行ってみようかなと思いまずは説明会に行きました。

──すごい、完全に運ですね。

そうです、なので他の学校調べたとかは一切していないです。

──その頃から起業に興味はあったのでしょうか?

いえ、僕はそもそも電気工事の仕事とエンジニアを迷っていたぐらいなので、エンジニアへの転職を目指して、プログラミングを学ぼうと思い、ジーズアカデミーに入りました。

いざジーズアカデミーに入ってみると、「起業、起業」みたいな空気がかなりあったのですが、僕はやっぱり最初からとりあえず技術を身につけて、転職したいという考えが大きかったですね 。

ジーズアカデミー同期との出会いが人生を変えた

──freecracy創業メンバーの方々は、ジーズアカデミーの同期とお伺いしました。上村さんはどのような流れで、ジョインすることになったのでしょうか?

ジーズアカデミーの同期で、現freecracy CEOである国本和基に、ジーズアカデミー卒業の日に「手伝ってくれないか?」と誘われ、比較的ライトな気持ちで手伝う事にしました。

最初はジーズアカデミーの同期と3名でのスタートだった事もあり、ジーズアカデミーの延長感も相まって、起業をしているという感覚は自分は薄かったです。

上村さんがCTOを務められているfreecracyが開発・運営する、就職やクラウドソーシングのSNS型プラットフォーム「freeC」。これまで就職、クラウドソーシング、イベント、ニュースなどバラバラであった情報を個人の興味や専門性によりセレクトし、ワンストップで応募や仕事を受けることを可能にする高度人材向け次世代ワークスタイルプラットフォームだ。

海外というところにも、自分の場合は特に拘りがあったわけではなく、エンジニアという職業の性質上、プログラムを書くのに場所はあまり関係がないと思いました。

──なぜホーチミンでスタートアップを創業されたのでしょうか?

CEOの国本が以前、ホーチミンを拠点に教育事業を行っていた事もあり、地の利があるからだと思います。

私自身はベトナムに関しては、ベトナム戦争があった社会主義国といった知識しかありませんでしたが、人口9500万人、平均年齢28歳なことから、HRTechは相性が良いと思いました。

──海外でスタートアップをやられていて、良かったと思うことはありますか?

実は私は英語が全く喋れないので、海外での生活は良くも悪くも退屈なので、自然とプログラミングしか殆どやることが無いため、集中しやすいと言えばそうだと思います。

また、日本に比べ給与水準の低いエンジニアの能力が思っていたよりだいぶ高い、ということを目の当たりにし、「将来日本人の立場って危うい」という危機感を持てたことは良かったと思います。

──逆に、海外でスタートアップをやられていて、大変だと感じることはありますか?

先ほども話したように、自分に語学力が無いために言葉の壁が一番大変です。

いつもGoogle translateと片言の英語でコミュニケーションをとっており、絵を共有することには苦労が多いです。

ただ、お互いエンジニアなので、雰囲気だけで伝わることもあります。でもやはり細かいニュアンスを伝えるのは難しいです。私の英語力の低さには、ベトナム人スタッフも苦労していると思います。

準備は必要ない、海外へ出たいならとりあえず出よう

──上村さんの今後の展望について教えてください。

まずはfreecracyの展望として、弊社のコンテンツfreeCは、4/1よりfreeC Shareという新たな試みをリリースしました。

ユーザーが知人の弊社コンテンツのJobリンクをシェアし、シェアしたリンクからUserと企業がマッチングすると報酬が得れる仕組みです。

求人をなさる企業様や求職をなさる求職者様にとって、効率的にベストなマッチングが行えるUXを目指し、機械学習によるリコメンド精度の向上も目指します。

今はまだデータの総数が多くないので、機械学習を入れてはいないのですが、今後は機械学習のレコメンドなどのアルゴリズムを入れていき、より効率よく、皆さんがマッチしていけるようにしていきたいと思っています。

僕自身の展望としては、身につけたい技術は、機械学習周りをやっていきたいと思っていますし、やらなくちゃいけないことだと思っています。

──ありがとうございます。それでは最後に、海外でチャレンジしたいエンジニアへひとことお願いします。

僕が言いたいことは、”ちょっと準備してから”みたいな考え方ではなく、”海外に出たいならとりあえず出れば”、ということです。

昨今、海外で働くフリーランスエンジニアなどの情報が巷では溢れていますが、実際、海外で働くというのはそれなりの思い切りやチャンスがなければ、中々一般的には体験できることではありません。なので、チャンスがあったら思い切って飛び出てみるのも良いと思います。

「英語を学んでから海外へ」みたいなことではなく、最悪英語が話せなくても、現在の僕の様にある程度なんとかなるものですし、航空券を買って飛行機に乗るだけで海外には誰でも行けるので、是非チャレンジしてみてください。

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