今では情報系の学部でない人でも、プログラミングを学習しエンジニアとして働く人が増えてきています。とはいえ、プログラミングの学習は簡単ではなく、途中で挫折してしまう人もたくさんいるのが現状です。
今回は、元通信業系の営業マンというキャリアから、GAOGAO GATEでプログラミングを学習され、学習を始めてからなんと2ヶ月で実案件を獲得するまでに成長されたUnaさんに、「爆速成長を遂げた秘訣」をお伺いしました。
Una
株式会社Ancar フロントエンドエンジニア。新卒で入社した元通信業系の営業職を退職後、GAOGAO GATEでプログラミングを学ぶ。GAOGAO GATE終了後に、フロントエンドエンジニアとして、車の個人売買マーケットプレイスを運営するAncarにジョイン。
Twitter:@unadesuga
「職場環境の不満」と「キャリアの不安」からエンジニアへ
──プログラミングを始める前は営業をされていたんですよね。どのような経緯でエンジニアへ転身しようとしたのでしょうか?
もともと通信業界で営業をしていて、新卒入社して1年半ぐらい経った時期に、ちょうど仕事を辞めました。
そもそも思い立ったのが、おととしの12月でした。経緯はいろいろあるんですけれども、職場環境に対する不満と自分のキャリアに対する不安がありました。
職場環境に対する不満は、当時勤務していた会社の働き方について疑問に思うところがありました。そこは大手の古い会社だったので、9時-18時勤務で、一般的な働き方で、結構福利厚生はしっかりしていました。
ですが、リモートワークとか、仕事が営業だったのでなかなか難しい部分もあったんですけれども、営業職を除いてもリモートはありませんでした。
その当時、週5勤務じゃなくて週4勤務とか、そういった画期的な働き方とかやり始めている人や企業が増えてきていましたが、自分の会社はどうやっても変わらないなーという思いがあったんです。
──典型的な日本的経営のような会社だったんですね。
特に地方での勤務だったので、社員の平均年齢が50歳ぐらいでした。
自分がそこにいるのはおそらく3~4年ぐらいで、そのあと転勤になるんですけれども、若い時の吸収能力は高いのに、すごくもったいないなと感じちゃったんです。
色々な働き方で刺激を受けたいのに、今の会社ではなかなかモチベーションを維持しづらいというのがありました。
──それが職場環境に対する不満だったんですね。ご自身の将来に対してはどのような不安があったんですか?
通信業界なので、Wi-Fiとかネットワーク環境の構築の手伝いなどをしていて、それこそアポなしでお客様のとこに行ったりもしていて、それ自体は楽しかったんです。
営業はやればやるほど自分の力になるみたいな感じがあったんですけれども、ただそこは大きな企業なので、ずっと営業をしてられるわけじゃないんです。多分3年か4年したら、くるっと自分の職を変えて、例えば総務とか人事とか全く違うところに飛ばされることもざらにあります。それはそれでジェネラリストみたいな感じで良い部分はあると思います。
ですが、その会社でずっと生きるならいいと思うんですが、外に出た瞬間にそのキャリアって成り立たないなーと思ったんです。
例えば営業を3年やってました、人事を3年やってました、じゃあそこから紐づく部分があればいいと思うんですけれども、必ずしも人事系にいけるとも限らないし、その会社でしか使えない技術系のことを担当したりすると、それこそ外に出られないなーと思っていました。それで自分の将来に対する不安というものが出てきました。
なので、まとめると、職場に対する不満と自分の将来に対する不安があったんです。
──そこから、これからどうしようかなと考え始めたんですか?
不満と不安があって、やっぱり情報を集めようと思って色々やったんです。一番最初に考えていたのは、僕はすごく古い考え方を持っていたので、やっぱり資格を取ろうかなーと。弁護士は厳しいし、税理士もなー、司法書士も弱いなーと思い、そこで公認会計士を考え始めました。
僕は1年間カナダにいたことがあったので、英語がある程度できるならば、アメリカの公認会計士があるんですけれども、これじゃね?みたいに思って。その時は青森にいたので、オンラインで資格の勉強を始めたんです。
──なるほど、プログラミングの学習を始める前に、一旦公認会計士の勉強を始めていたんですね。
そうなんです。ただふと考えた時に、そこの職業も行き着く先は監査法人とかなんですよね。監査法人って、やっぱり話を聞いてみると、古い体質が強くて、なかなかリモートワークとかは難しいんですよ。
そこからコンサルをやるならいいんですけれども、最初は地に足付いたことをしなくちゃいけないから、それ本当にやりたいのか?と自分で考えたところ、全然違うなと、全く魅力的じゃないなと気づきました。
高いお金を払ってスクールに通ったけれども、結局ここで引き返さないとやばいなと思ったんです。
そこから、情報を集める手法をTwitterなどのSNSに変えました。それまではTwitterも全然使ってなくて、学生時代に友達同士でやってたぐらいで、いわゆる情報を集めるためにTwitterを使うことをしてなかったんです。
その時Twitterを見てて、たまたまバンコクでエンジニアをされている方々が目について、結構不安な気持ちがあったのですが、エンジニアは稼げる!みたいな安易な情報に気を引かれて、それらを見始めたのが最初のきっかけでした。
その後も色々と調べていくうちにエンジニアは需要もあるし、自分にスキルがすごく溜まっていく感じがあると思いました。
例えば営業職も自分のスキルが溜まっていくっていうのはあるんですけれども、その商品知識とか、その所属している会社に依存する部分がすごく強いんです。
あとは会社の看板のでかさですね。自分は大企業でやってたので、そこの看板で食ってた部分がでかいなって思いました。
エンジニアってある意味、会社の大きさもネームバリューとしてはいいんですけれども、それよりも見られるのは自分の実績、かつスキルじゃないですか。
つまり、自分にスキルがあればどうとでも生きられる世界ですし、スキルを養い高めることが、自身のメリットと企業のメリットに直接結びつく環境がいいなと思いました。
──働き方と自分にスキルが蓄積されていくところに、エンジニアの魅力を感じたんですね。
あとはエンジニアもそうですけど、Web 業界全体が働き方がかなり柔軟な感じがありますよね。
実際に、リモートワークしたりですとか、週3で働く人がいたりすることを知って、こういうの結構自分がやりたいこと、色々な自由な働き方したりとか、いわゆるノマドみたいな働き方とか、自分の力で生きていくみたいなところがすごくヒットするなと思ったんです。そういう経緯でエンジニアになろうかなって思い始めました。
──Unaさんは行動力がありますよね。公認会計士かな?と思ったら、一旦ちゃんと勉強を始められています。
そうですね、結構やってから考えるタイプなんです。
──それめっちゃいいと思います、すごく大切ですよね。
ちょうど、Twitterを見ていた時に、GAOGAO代表の手島さんのnote(新卒エンジニアが入るべきは大企業?スタートアップ?)を見つけ、そこで初めてGAOGAO GATEを知り、申し込みをしてから会社を退職しました。
GAOGAO GATEとは
「リアルな開発案件をフルスタックに初めから終わりまで個人で遂行できるスキルを養う」というコンセプトのもと、ベトナム・ホーチミンのシェアハウスでメンターと共同生活をしながら刺激的なスキルアップの体験をすることができるプログラムです。
詳しくはこちら:あの海外修行が復活?! GAOGAO GATE第3期始動。時代ノ猛者求ム!
会社の中でも、スピード退職って言われていて、辞めますと言ったのが退職の一か月前だったので。
そこが自分ではある意味タイミングのようなものだったのかなっていうところあって。たださっき言った軸みたいなところで、自分にスキルが溜まっていくですとか、スキルがあれば生きたいように生きていける、みたいなところがでかくて、その軸からやっぱり自分は今もずれてないなと思っています。なので、それがきっかけですね。
実務ベースの学習で爆速成長
──それでGAOGAO GATEでプログラミングを学ばれたわけですね。具体的にはどのようなことを学ばれてたんですか?
GAOGAO GATEに行く前に、Progateの基礎の部分は終わらせてから行きました。
自分でLPを作ろうかなと思っていて、 実際にあるサイトを見て、自分でHTMLとCSSを作って準備して、GAOGAO GATEに行きました。
実際にGAOGAO GATEでやったこととしては、最初は基礎的な部分を少しやってたんですけれども、やっぱり実務ベースでLPを作ってみようということになりました。一応Webサイトみたいなものを作って、実際に実務ベースっぽくやってみるみたいなことをやりました。
──それは実際の実務の案件をされたのでしょうか
それは後々にやるんですけれども、1回目は実務じゃなくてGAOGAOのサイト内のLPを作りました。
──なるほどですね。やっぱり実務ベースは勉強になりますよね。
そうですね。やっぱり自分で独学でやるよりも、メンターの方がいて、自分がつまづいたところを、すんなり質問できるので、教えてもらいながらすぐ出来るっていうのがストレスも少なく、スピードが上がったという感じがあって、すごく気持ちよかったです。
結構GAOGAO GATEは、そこの部分が大きかったのかなと思っていて。ただ教えてもらうだけじゃなくて、実際の案件を通してやるみたいなところが、すごいよかったなと思っています。
「動くものって面白い」サービスづくりに目覚めたきっかけ
──GAOGAO GATEでは、個人サービスも作られたとお聞きしました。
はい、作りました。GAOGAO GATEは全部で2か月あるんですけれども、ちょうど1か月が終わったぐらいの時にはじめたやつです。
それまでは自分はWordPress制作とかの方向性を考えていたんです。単純にお金を稼ぐみたいなところが最初は頭にあったので。
ただそれだけだとやっぱりちょっとつまんないなと思いまして。そう思うきっかけが実はあって、Slack に毎日のタスクを投稿しようかみたいな話になったんです。
メンターの方が作成された学習のためのスプレッドシートがあって、そこで生徒とメンターがコミュニケーションを取れたり、毎日のタスクを書き込むみたいなことをしていました。
ですが、スプレッドシートを毎回開かなくちゃ見れないじゃないですか。それが面倒なので、Slackに投稿した方ががいいよねっていう話になったんです。
それって自分で流せないのかな?、毎回コピペして貼り付けてというのは自分は嫌だなと思い、Slackに自動で直せないかなと思っていたら、GASというものがあることを知りました。これでスプレッドシートとSlackを連携すれば、自動で流すことができるんだってことを知って。
メンターの方に教わりながら、毎日の朝10時になったら、その日スプレッドシートに書き込んだタスクがSlackにポンっと流れてくるみたいな物を、ちょうど一か月終わったぐらいの時に作ったんです。
Unaさんが開発された、タスク管理用のスプレッドシートから毎朝タスクをSlackで通知してくれるBotはこちら:【初心者向け】GASを使ったスプレッドシートとSlackの連携(bot制作)
その時に初めて、「動くものって面白い」と思ったんです。それまでは LP とか静的なページをずっと作っていたので。
でもそれは自分の中でいわゆる一種のサービスみたいな感じがあって、動くものは楽しいなと思い、そこから何かサービス作りたいなと思っていて、それで作ったのが「ブックリ」というWebサービスです。
──Unaさんはフロントエンドの学習をされていたと思うのですが、ブックリはサーバーサイドはどのようにして作られてるんですか?
サーバーサイドはFirebaseです。当時はフロントしかやってなかったのでVue.jsとFirebaseで作りました。開発期間が1か月しかなかったので、サーバーサイドを学ぶのは時間がなかったんです。
サービス作りたいけど、サーバーサイド勉強する時間がなかったのでどうしよう?みたいな時に、ちょうどVue.jsとFirebaseで作るTodoアプリみたいな本があったんです。それをベースにして、FirebaseとVue.jsで作りました。
──いやーすごい。めっちゃいいサービスですね。その後、GAOGAO GATEを卒業されたわけですけれども、今はどのような活動をされていますか?
今はAncarという企業で週3日勤務しています。昨年10月中旬ぐらいからリモートでジョインさせていただいたりはしていて、実際には戦力にはまだならなかったんですけれども、会社の状況とかを把握するために学ぶみたいな感じで入っていました。
ですが、実際に本出社したのは昨年11月の中旬ぐらいです。
──その会社ではどのような業務をされているんですか。
一応フロントエンドエンジニアをやっているんですけれども、会社の状況で最近はPHPを触っていたりします。ですが、おそらく今後はフロントエンドがメインでやっていくことになると思います。
──フロントエンドがメインでサーバーサイドも理解できていたら、すごく希少価値は高まりますね。
そうですね。さっき話したように、サーバーサイドをFirebaseでサービスを作ったんですけれども、やっぱり裏側を知らないと、ある意味裏側あってこその表側みたいなところがあると思っているので、裏側の仕組みを知らないと自分がこのサービスを作りたいってなった時になかなかうまくできないなと思いました。
BKK Castの「フルスタックエンジニアの憂鬱」の回でも、CTOにはサーバーサイド出身の人が多い、みたいな話があったじゃないですか。フロントエンド専門でやっている人は現時点では確かにいないなと思っていて、今後どうなるかはまだ分からないですけれども。
なので裏側を知りたいなっていうところもあって、今PHPを書いているというのはすごく良い経験をさせて頂いてるなって思っています。
プログラミング学習2ヶ月、見切り発車でLTにエントリー
──会社とは別で、個人LTで登壇をされたとお聞きしました。
そうですね、日本に帰ってきてすぐの頃に登壇をしました。
──すごいですね、プログラミング学習2ヶ月で登壇されたんですね。
ちょうどTwitterでなんかLTブームみたいなのがあって、自分の中で思っていただけかもしれませんが、LTやろうぜみたいな流れがあったんです。
僕もせっかくだし、面白いことやりたいなと思っていて、ちょうどLaraVueというLaravelとVueの勉強会があって、別にLaravel使ったことないけど、Vue.jsでサービス作ったしいいか、「LTやっちゃおうかなー」みたいな感じで、ちょうど枠が空いてたのでLTで申し込みました。
──本当にすごい行動力ですね。
実際申し込んでみたら、LTの登壇者の方が皆、技術系の話をしていて、「あ、やべえ」みたいな感じになってたんですけれども、実際はすごく温かく受け入れてもらえて。
後々、その勉強会から色々な方と知り合いになれて、すごい強いエンジニアな方々とも知り合えて、その人経由でまた違う勉強会に参加したりですとか、そういう勉強会に参加して結構モチベーションとかが上がりました。
僕がなんでGAOGAO GATEであんなに集中して学習に取り組めたかと考えると、やっぱり環境が整ってたと思うんです。
隣でずっとメンターの方もパソコンを開いてプログラミングしてるし、みんなやってる環境なので、ある意味やらざるを得ないみたいな、サボれない感じなんです。
でも日本に戻ってくると、やっぱり一人なので自分でやらなくちゃいけないみたいな、自己管理をしなくちゃいけないなと思っていて。
モチベーションの維持ってすごく難しいなと思ったです。なので、勉強会に行くのもモチベーションの維持みたいな感じでした。
爆速成長を支えた「つながり」と「環境」
──これがインタビューで一番お聞きしたかったことなのですが、プログラミング学習2ヶ月で実案件を獲得するまでに、Unaさんが爆速成長した秘訣は何だと思いますか?
まずその案件を紹介していただいたというところがあるので、つながりというものが重要だと思っています。
つながりも自分の力と言ったらそうなんですけど、そこがなければ絶対にできなかったことなので、エンジニアになるんだったらエンジニアの知り合いを作るみたいな、自分の情報を得るためにもそういったものは必要かなと思うので、一番の肝はエンジニアの知り合いを作ることかなと思います。
あとはそういう人と繋がってると、自然と勉強したくなると思うので、つながりは大切だなと思います。
──もうめちゃくちゃ自分で勉強するということは前提として、爆速成長した秘訣がエンジニアとのつながりだったわけですね。
そうです。あとは自分の場合で言うと、退職してるので後ろがないじゃないですか。やるしかないみたいな。それも環境ですよね。
やるしかないし、つながりはあったしというところが自分の中では大きかったなと思っています。なので、GAOGAO GATEには本当にお世話になっています。
──なるほどつながりと環境がUnaさんの爆速成長を支えたわけですね。
そうですね、環境は重要で、勉強する環境づくりとか本当に大切です。
──最後に、今プログラミング学習中の人に向けて何かアドバイスをお願いします。
当時のプログラミング学習中の自分に向けて言うとしたら、「やるしかないぞ」ということですね。それしか思いつかなくて(笑)
いくつかやるべき事って自分の中で分かってると思います。例えばエンジニアの人とつながりを作るとか、情報を発信するとか、情報取りに行くとか、だいたいこの三つなんですけれども。
結局それをやるかやらないかというのは、本人次第なんでやるしかないなと。ただ自分の意思ってそこまで強くないと思うので、環境づくりが大切で、やらざるを得ない環境に行くとか、ある意味そういった人とつながりを作れば、いろんな情報も自然と入ってくると思っています。
なので、シンプルに、ひとことで言うと「やるしかない」です。